ばね指について

ばね指とは?

段発指(ばね指)とも呼ばれる症状は、指にある腱と腱鞘がうまく滑車のように働くことで、繊細な指の動きが可能になっています。この腱鞘を固定し、腱と腱鞘が浮き出ないようにする役割を担っているのが、靭帯性腱鞘です。この部分に過度な負荷がかかると炎症が起こり、やがて多くの方が耳にする「腱鞘炎」になります。さらに状態が進行すると、腱と腱鞘に引っかかりが生じ、指がはじけるような動きを伴う「ばね指」へと変化してしまうことがあります。

ばね指の根本原因は?

指は、靭帯の中でも最も繊細な動きができる部位の一つと言っても差し支えないほどです。そのため、多くの筋肉、腱、腱鞘が存在し、これらが潤滑することで繊細な動きを可能にしていると考えられています。

腱の周囲には鞘があり、腱が浮き出ないように固定する「靭帯性腱鞘」があります。多くの腱鞘は「パラテノン」と呼ばれる軟部組織に保護されていますが、特に大きな負荷がかかる部位では、「潤滑性靭帯」といった特殊な靭帯が潤滑を保護しています。

使いすぎやホルモンの影響、または病的な要因によって大きな負荷がかかると、腱鞘が腫れて潤滑な動きが妨げられ、腱鞘炎になることがあります。さらに放置したり、状態が悪化したりすると、腫れが進み、腱鞘の潤滑がうまくいかず「ばね指」になる可能性があります。

こんなお悩みはありませんか?

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指の付け根が痛い
指の付け根が腫れている、熱感を持っている
指の曲げ伸ばしがスムーズでなく引っ掛かった感じがある
朝方に特に指が動かしずらい
指が曲がったまま伸ばすことが出来ない
伸ばす時にカクンとなる

このような症状がある方はばね指かもしれません。
動かそうとすると痛みが出る方もいらっしゃれば痛みは伴わずひっかかりがあり動かしずらいだけのかたもいらっしゃるため、痛みが無いから大丈夫といった判断は悪化につながるケースがあり大変危険です。

ばね指に対する当院の考え

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ばね指は使い過ぎが主な原因であるため、局所の安静といった保存的な施術が必要です。当院では、日常生活の背景に合わせてサポーターやテーピングなどの固定具を使用し、安静を目指しています。

とはいえ、やはり手は日常生活の中で最も使ってしまう部分です。何をするにも手を使わざるを得ませんし、家事はもちろん、子育て中のママさんに「抱っこや授乳をやめて安静にしてください」とお願いするのは、現実的には難しいことです。

そのため、少しでも負荷を軽減し、症状の軽減が期待できるよう、患者様の生活背景に合わせた保存方法を選択させていただいています。ほかにも、痛みを少しでも和らげるために、電気施術や鍼を選択する場合もあります。

ばね指はなぜ起こるのか?

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指の使い過ぎによって炎症が起こることが主な原因として挙げられますが、ホルモンの影響も受けやすいと言われています。そのため、更年期の女性や出産後の女性に発症しやすいとされています。ホルモンの影響を受けやすい時期に、長年にわたる家事(雑巾がけやフライパンを振る動作など)によって炎症が起こりやすくなり、さらに抱っこや授乳などの負荷が加わることで、症状が出やすくなると考えられています。

また、手や指をよく使う職業やスポーツも発症の要因となる可能性があります。さらに、リウマチや透析を受けている方、糖尿病の方にも起こりやすいと考えられています。

ばね指を放っておくとどうなるのか?

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放っておいて軽減する方は、ほとんどいらっしゃいません。炎症がひどくなればなるほど、腫れも悪化していきます。最悪の場合には、保存的な施術では症状の緩和が追いつかなくなり、整形外科で投薬を行うことになります。さらに症状が進行すると、腱鞘内ステロイド注射を選択することもあります。それでも症状の軽減が期待できない場合や、ばね指を繰り返し発症する場合には、腫れている腱鞘の鞘を開く「腱鞘切開」という手術を行います。

ただし、「切開」と聞くと不安に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、腱鞘は非常に小さいため、切開部分も少なく、傷も小さく済むようです。通院なども放置することで症状が悪化し、負担が増える可能性があるため、保存的な施術で軽減が期待できるうちに対応することが大切です。

ばね指に効果的な当院の施術メニューは?

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当院では、サポーターやテーピングを優先的に選択しますが、患者様がなぜばね指になってしまったのかという原因を追求しながら施術を行っています。たとえば、痛みが強く出ている場合には、症状を少しでも軽減するために電気施術を選択します。また、動きが悪い場合には鍼を使用し、指の動きがスムーズになるよう対応いたします。

さらに、使い過ぎによって前腕部の硬さが生じている場合や、血流不全が強く疑われる場合には、「血流改善プログラム・手の極み」を選択し、軽減を目指す方法もございます。いずれも効果が期待できる施術ですが、患者様の症状や原因をしっかりと見極めたうえで、施術内容を患者様と一緒に考え、丁寧に選択させていただいております。

その施術を受けるとどう楽になるの?

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症状にもよりますが、まずは炎症(腫れや熱感)を軽減することが最優先となります。局所の安静がもっとも重要ではありますが、日常生活の中でどうしても手を使用してしまうことが多いため、少しでも負担を軽減するためにテーピングやサポーターを使用します。

さらに、それだけでは難しい場合には、電気施術により腫れや熱感の軽減を図ります。動きが悪い場合には、筋肉や腱を鍼で刺激し、あえて微細な損傷を与えることで自己回復力を高め、腱鞘の潤滑な動きを目指します。

また、前腕部の硬さや血流不全が見られる場合には、それらも要因の一つと考えられるため、前腕部の血流を促進し、腱鞘への負担を和らげるように対応いたします。

ばね指を軽減するために必要な施術頻度は?

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ばね指は安静が基本であるため、基本的には安静にしていて症状が落ち着いている場合は、週1回のペースで十分です。週1回のペースで、症状の確認(腫れや熱感、指の動き方)やテーピングの交換などを行います。ただし、痛みが強い場合や、なかなか腫れが引かない場合には、先ほど挙げさせていただいた電気施術や鍼施術、血流軽減プログラム「手の極み」を行い、症状の軽減を図りたいと考えております。そのため、最低でも週2回、症状に応じて回数を増やしていただきたいです。